一年間続いた離婚調停は、結局不成立に終わりました。
「これで終わりなのかな」と思った私に弁護士が言ったのは、
「次は離婚裁判になります」
裁判と聞くだけで不安でしたが、実際は私が想像していたものとは少し違っていました。
今回は、離婚調停から裁判へ進み、離婚が成立するまでの体験をお話しします。

調停が不成立になり、離婚裁判へ

約一年間続いた離婚調停は、最後まで話し合いがまとまることはありませんでした。
調停委員の方々も双方の意見を調整してくださいましたが、結局は不成立となり、離婚するためには裁判へ進むしかありませんでした。
「裁判」と聞いた瞬間、テレビドラマの法廷のような光景が頭に浮かび、不安でいっぱいになったのを覚えています。
しかし、実際に裁判が始まると、調停とは違う点がいくつかありました。
まず、裁判は私が住んでいる地域を管轄する裁判所で行われました。
調停では、別居後に他県へ引っ越した私が、夫の住所を管轄する家庭裁判所まで何時間もかけて通っていました。その負担がなくなり、自宅から通える裁判所になったことは、精神的にも体力的にも大きな助けになりました。
さらに一番安心したのは、裁判には私が毎回出廷する必要がなかったことです。
基本的には代理人として依頼していた弁護士が裁判所へ出廷し、私は必要なときだけ弁護士と電話で話したり、事務所で打ち合わせをしたりして、今後の方針を確認していました。
もちろん、相手から新たな主張が出れば、その内容を確認し、自分の考えを伝える必要はありました。しかし、調停のように毎回裁判所へ足を運ばなくて済んだことは、当時、仮面うつ病を抱えていた私にとって本当にありがたかったです。
裁判は精神的な負担が決して軽いものではありませんでしたが、信頼できる弁護士に代理人として対応してもらえたことで、「一人で戦っているわけではない」と感じることができました。その存在は、何よりも心強い支えでした。
証拠を集める日々

裁判が始まって、一番大変だったのは証拠を集めることでした。
調停では、お互いの話し合いが中心でしたが、裁判では「自分の主張を裏付ける証拠」がとても重要になります。
私の場合、夫から長年無視され続けたことで精神的に追い詰められ、仮面うつ病と診断されていました。そのため、精神的苦痛を証明する資料として、病院で発行してもらった診断書と、実際に服用していた薬が記録されているお薬手帳を弁護士へ提出しました。
また、財産分与に関する資料も数多く準備する必要がありました。
預貯金を確認するための通帳、加入している生命保険の内容が分かる書類など、自分が持っている財産を一つひとつ整理していきます。
特に大変だったのは、自宅の価値を調べることでした。
私は複数の不動産会社へ一度に査定を依頼できるインターネットの一括査定サービスを利用し、自宅が現在どれくらいの価値なのかを調べました。
裁判では、「たぶん」「そう思う」といった話だけでは判断してもらえません。
診断書や通帳、不動産の査定書など、客観的な資料があって初めて、自分の主張を裏付けることができます。
当時は、これほど多くの書類を集めるとは思ってもいませんでしたが、今振り返ると、裁判では証拠が何よりも大切なのだと実感しています。弁護士から言われた資料はできるだけ早く準備し、一つずつ積み重ねていくことが、結果につながる大切な一歩だったと思います。
相手の主張に何度も反論した

裁判が始まると、相手側から書面が届きます。
その内容を弁護士と一緒に確認し、一つひとつ反論していきました。
こちらが反論書を提出すると、今度はまた相手側から新たな主張が書かれた書面が届く――。
そんなやり取りが何度も繰り返されました。
書面には、私が納得できない内容や事実とは違うことが書かれていることもあり、そのたびに気持ちが大きく揺さぶられました。
「また反論しなければいけないのか……」
書類が届くたびに気持ちが重くなり、裁判が終わるまで落ち着く日はありませんでした。
精神的な疲労は日に日に大きくなり、ある日、私は弁護士にこう話しました。
「もう、お金はいいです。早く終わらせて、とにかく離婚したいです」
すると弁護士は、静かにこう言いました。
「今はつらいと思います。でも、これから一人で生活していくためのお金です。ここで諦めてしまうと、後で後悔するかもしれません。受け取れる権利があるものは、きちんと受け取ったほうがいいですよ」
その言葉を聞いて、私はもう一度気持ちを立て直しました。
あの頃は、一日でも早くこの苦しみから解放されたいという思いしかありませんでした。しかし、感情だけで判断せず、将来の生活まで考えて支えてくれた弁護士の存在には、今でも感謝しています。
もしあのとき弁護士の言葉がなければ、私は精神的な限界から、本来受け取れるはずだった財産分与まで諦めていたかもしれません。
財産分与で一番揉めた家のこと

財産分与の中で、一番時間がかかり、意見が対立したのが自宅のことでした。
まず問題になったのは、家の価値です。
相手側が提示してきた査定額は、私が思っていたよりもかなり低い金額でした。この金額をそのまま受け入れてしまうと、財産分与にも大きく影響します。
そこで私は、複数の不動産会社へ一括で査定を依頼できるインターネットのサービスを利用し、自宅の適正な価格を調べました。
複数の査定結果を参考にしながら、弁護士を通してこちらの主張を伝え、最終的には双方が納得できる評価額で話を進めることになりました。
その後、家は夫が住み続けることになり、住宅ローンも夫が引き継ぐことで決まりました。
ただ、一つだけどうしても譲れないことがありました。
それは、私が住宅ローンの連帯保証人になっていたことです。
離婚後も連帯保証人のままでは、万が一、夫がローンを支払えなくなった場合、私にも返済義務が生じる可能性があります。
そこで私は、弁護士を通して「連帯保証人から外してほしい」と強くお願いしました。
その結果、夫が住宅ローンを借り換えることで、私は連帯保証人から外れることができました。
このとき、「離婚したから自動的に連帯保証人も外れるわけではない」ということを初めて知りました。
もしそのままになっていたら、離婚後も大きな不安を抱え続けることになっていたと思います。
裁判で決まった内容は、公正証書にきちんと記載されました。
離婚は成立すれば終わりではなく、その後の生活に関わる大切な約束を文書として残しておくことの重要性を、私は身をもって実感しました。
夫の退職金は財産分与の対象だった

財産分与で、もう一つ大きなポイントになったのが夫の退職金でした。
私は当初、「まだ退職していないのだから、退職金は対象にならないのでは」と思っていました。
しかし、弁護士から「将来受け取る予定の退職金でも、婚姻期間に対応する部分は財産分与の対象になる場合があります」と説明を受けました。
そこで、夫の勤務先に依頼し、現時点で退職した場合の退職金額を試算してもらうことになりました。
その試算額をもとに話し合いが進み、最終的には現時点での退職金額の半分を財産分与として受け取ることになりました。
退職金はまだ受け取っていないお金なので、「本当に対象になるのだろうか」と疑問に思っていましたが、実際には財産分与の重要な対象の一つでした。
このことは、自分だけでは気づけなかったと思います。
もし弁護士に依頼せず、知識もないまま離婚を進めていたら、退職金について請求することさえ思いつかなかったかもしれません。
離婚は感情だけで進めるものではなく、これから先の生活を支える財産についてもしっかり考える必要があります。
今回の経験を通して、専門家の知識や助言の大切さを改めて実感しました。
弁護士費用は約150万円。それでも後悔はしていない

離婚裁判を終えて、弁護士費用は着手金や報酬金などを含めて、合計で約150万円になりました。
決して安い金額ではありません。
当時の私にとっては大きな出費でしたし、「こんなにかかるのか」と驚いたことを今でも覚えています。
でも、調停から裁判をして離婚成立まで約2年。
調べた結果、その金額は妥当だということでした。
財産分与や退職金などで受け取ることになったお金は、いったん弁護士の口座へ振り込まれ、そこから弁護士費用が差し引かれた残りの金額が私の口座へ振り込まれました。
最初は高額な費用に戸惑いましたが、今振り返ると後悔はまったくありません。
もし自分一人で手続きを進めていたら、法律の知識もなく、相手の主張にどう反論すればいいのかも分からず、財産分与や退職金について適切に請求することも難しかったと思います。
裁判のたびに的確なアドバイスをもらい、精神的に落ち込んだときには励ましてもらい、最後まで私の代理人として支えてくれた弁護士の存在は、とても大きなものでした。
150万円という金額だけを見ると高く感じるかもしれません。
しかし、私にとっては、これから一人で生活していくための財産を守り、新しい人生を安心してスタートするために必要な費用だったと感じています。
だからこそ、私は「あのとき弁護士に依頼して本当に良かった」と心から思っています。
裁判を終えて思ったこと

離婚裁判は、精神的にも体力的にも本当につらいものでした。
それでも、あの一歩を踏み出したからこそ、私は新しい人生をスタートさせることができたと思っています。
一人では途中で諦めていたかもしれません。最後まで支えてくれた弁護士には、今でも感謝しています。
次回は、裁判で離婚が成立したあとに行った手続きや、その後の生活についてお話ししたいと思います。




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