「まさか、50代で家を建てることになるなんて。」
離婚前、実家へ戻ったときの私は、そんな未来を想像もしませんでした。
住む場所さえあれば十分。
そう思って戻った実家でしたが、三姉妹で暮らし始めると、少しずつ現実が見えてきたのです。
今回は、実家をリフォームするつもりだった私たちが、家づくりを考え始めるまでのお話です。
離婚前、私は実家へ戻りました

離婚が成立する少し前、私は夫と別居し、実家へ戻ることになりました。
その家は、母が女手一つで建てた家です。
母はシングルマザーでした。決して裕福ではありませんでしたが、「子どもたちが安心して暮らせる家を残したい」という思いで、一生懸命働いて建ててくれた大切な家でした。
その頃には両親はすでに他界しており、実家にはバツイチの妹と、ずっと独身で暮らしている妹が住んでいました。
こうして私は離婚を前に実家へ戻り、子どもの頃以来となる三姉妹での生活が始まりました。
最初は少し不思議な気持ちでした。
子どもの頃は毎日一緒に過ごしていた姉妹なのに、それぞれ結婚や仕事などで別々の人生を歩み、何十年ぶりかの共同生活です。
それでも家族だからでしょうか。
気を遣いすぎることもなく、夕食を囲んで他愛ない話をしたり、一緒にテレビを見て笑ったり。
離婚前で気持ちが不安定だった私にとって、「一人じゃない」という安心感は本当に大きな支えでした。
「ああ、帰ってこられる場所があって良かった。」
あのとき感じた安堵は、今でも忘れられません。

私の部屋は仏間でした

ところが、現実はそう甘くありませんでした。
実は、私の部屋がなかったのです。
もともと二階は三部屋ありましたが、妹二人が住みやすいように改装され、二部屋になっていました。
そのため、私に用意されたのは一階の仏間。
八畳の和室には母の仏壇があり、押し入れもあります。
しかし、別居に伴って運び込んだ荷物を置くと、部屋はあっという間にいっぱいになりました。
積み重なった段ボール。
家具を置く場所もなく、足の踏み場を探しながら生活する毎日。
「とりあえず住めればいい。」
そう思っていましたが、長く暮らせる環境ではありませんでした。
家族だからこそ難しいこともある

家族だから気を遣わなくていい。
確かにその通りです。
でも、それぞれ何十年も違う生活を送ってきた私たちは、生活リズムも、家事のやり方も、考え方も少しずつ違っていました。
大きなケンカになることはありません。
それでも、
「私はこうしたい。」
「私はこう思う。」
そんな小さな違いが積み重なることはありました。
家族だからこそ遠慮がなく、家族だからこそ歩み寄ることも必要だったのです。
暮らして初めて気づいた実家の不便さ

住み始めてしばらくすると、実家の古さが想像以上に生活へ影響していることに気づきました。
冬は底冷えするほど寒く、暖房をつけてもなかなか部屋が暖まりません。
収納は少なく、三人分の荷物をしまうには明らかに足りませんでした。
水回りも古く、家事動線も今の住宅とは比べものにならないほど使いにくい状態でした。
さらに困ったのが駐車場です。
駐車スペースは二台分しかなく、妹たちの車でいっぱい。
私の車は家の前の道路に停めるしかありませんでした。
ところが、それが近所の方の迷惑になってしまい、「車が邪魔です」と苦情が入ることもありました。
家そのものは、母が家族のために建ててくれた大切な思い出の場所です。
だからこそ簡単に手放したいとは思いませんでした。
けれど、三人で暮らしてみると、この家には少しずつ限界が見え始めていたのです。
まずはリフォームすればいいと思っていた

この頃は、家を建て替えるなんて考えはまったくありませんでした。
「住みにくいなら直せばいい。」
それくらいの気持ちでした。
私たちが考えたリフォームプランはこんな内容です。
まず、一階の仏間だった私の部屋を洋室にしたい。
押し入れだけでは収納が足りないので、床の間をクローゼットに変えたい。
さらに少し増築して、もう少しゆとりのある部屋にできないだろうか。
そして、一番困っていた駐車場。
庭を少しつぶして駐車スペースを一台分増やせば、道路に車を停めなくても済む。
私たちの中では、「これでかなり住みやすくなるはず」というイメージができあがっていました。
参考になると思って住宅展示場へ

家のことは何も分かりません。
そこで、「まずは新しい家を見てみよう」という軽い気持ちで、住宅展示場へ行くことにしました。
最初はリフォームの参考になれば十分。
そんなつもりだったのです。
ところが、モデルハウスを見学するたびに驚かされました。
玄関を入った瞬間から暖かい室内。
冬でも薄着で過ごせるほどの断熱性能。
結露しにくい窓。
家のどこを歩いてもほとんど温度差がありません。
収納も驚くほど多く、家事がしやすい動線まで細かく考えられていました。
「今の家って、こんなに快適なんだ。」
実家との違いに、三姉妹そろって驚いたのを覚えています。
何も事前情報を知らないまま、住宅展示場へ行った私たちでしたが、今思えば、その前に各ハウスメーカーの資料を取り寄せておけばよかったと思います。
特徴や価格帯をある程度知ってから見学すると、「この会社は断熱性能が強い」「こちらは収納が多い」など比較しやすかったはずです。
私たちは何も知らずに見学したので、「どこも良く見える」という状態でした。
これから家づくりを考える方は、まず無料の資料請求をしてから展示場へ行くことをおすすめします。
リフォームにも思っていた以上のお金がかかる

モデルハウスを見学しながら、スタッフの方に私たちが考えているリフォーム内容を相談してみました。
すると、思ってもいなかった話を聞くことになります。
仏間を洋室に変更する。
増築をする。
床の間をクローゼットにする。
庭を駐車場にする。
一つひとつはできない工事ではありません。
でも、それぞれに費用がかかり、全部合わせるとかなりの金額になるというのです。
さらに、増築する場合は土地の広さだけで自由に建てられるわけではなく、建蔽率などの建築上の制限も関係してくるため、希望どおりに工事できるとは限らないことも教えていただきました。
「古い家だから、工事を始めてみたら追加費用が発生することもありますよ。」
その言葉を聞いて、私たちは顔を見合わせました。
リフォームは、新築より気軽にできるものだと思い込んでいたのです。
「三人なら新築という選択肢もありますよ」

そんな私たちに、モデルハウスのスタッフの方がこんなことを話してくれました。
「三姉妹で住まれる予定なんですよね。」
「それでしたら、新築という選択肢も考えてみてもいいかもしれません。」
最初は「いやいや、家を建てるなんて無理ですよ」と笑っていました。
ところが、スタッフの方は続けます。
「一人では難しくても、三人で費用を分担できるのであれば、ローンという方法もあります。」
その一言に、三人とも黙ってしまいました。
今まで「リフォームする」という考えしか持っていなかった私たちにとって、新築はまったく想像もしていなかった選択肢だったからです。
もちろん、その場ですぐに「家を建てよう」と決めたわけではありません。
でも、住宅展示場をあとにする頃には、三人とも同じことを考えていました。
「リフォームだけが正解じゃないのかもしれない。」
こうして、私たち三姉妹の家づくりが始まったのでした。
このあと私たちは、もっと大きな決断をすることになります。
母が残した家を売るか、それとも残すか。
三姉妹で何度も話し合い、最終的に家を売る決断をしました。
ですが、その前に問題があったのです。
実家の名義は亡くなった母のままでした。
そこで、自分たちで名義変更をすることにしたのですが、色々と問題が浮上してきました。
次回は、まさかの問題発生、名義変更について書いていきたいと思います。




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